「屋外活動をしている子」は

近視になりにくいことが判明!

近視の原因にはおもに「遺伝」と「環境」の両面があると考えられています。しかし、どのような環境がよくて、何がわるいのかは明らかになっていませんでした。ところが最近の研究で、「屋外で過ごす時間」が近視の進行・抑制と関係があることがわかってきたのです。

TOPICS

  • 屋外で過ごす時間が近視の進行・抑制に影響する
  • 遺伝要因より、屋外活動時間のほうが重要である可能性
  • いまや、小学生の外遊びは1日たった40分
  • 近視をふせぐために、外に出よう!

屋外で過ごす時間が
近視の進行・抑制に影響する

「暗い場所での読書は目によくない」「テレビやスマホの見過ぎはダメ」など、さまざまな要因が近視に影響するといわれ、それらについて世界中で検証が進められています。そんな中、すべての研究者が認めているのが、「屋外で過ごす時間が近視の進行・抑制に関係する」ということです。

多くの研究から、「外で過ごす時間が長いほど近視になりにくい」ことがわかっています。下のグラフは、12歳児を対象に「屋外で過ごす時間」と「近くを見る時間」別に、近視になるリスクを比べたものです。その結果、近くを見る時間が長くても、屋外で過ごす時間が長ければ、近視のリスクが低くなる可能性があることがわかりました。

【近視進行予防における屋外活動の重要性】
出典:Rose KA et al. Ophthalmology. 2008

遺伝要因より
屋外活動時間のほうが重要である可能性

両親ともに近視の場合、子どもが近視になりやすい傾向はあります。両親が近視でない子どもに比べて、片方の親が近視だと子どもが近視になる確率は2倍、両親とも近視だと5.7倍になると報告されています。しかし、親が近視だからといって必ずしも子どもが近視になるとは限りません。多くの病気と同じように、遺伝要因のほかに、環境や生活習慣といった要因も子どもが近視になるかどうかに影響すると考えられます。

2007年に欧米で行われた研究によると、両親ともに近視でも、屋外活動の時間が長ければ近視の発症リスクがおさえられることがわかっています(下グラフ参照)。

この研究では、「両親ともに近視の子ども」「片親が近視の子ども」「両親とも近視ではない子ども」について、屋外活動の時間と近視になる割合を調査しています。

屋外活動時間が1日1時間未満の子どもを比較すると、「両親ともに近視の子ども」が、「両親ともに近視でない子ども」に比べて近視になる割合が約2倍という結果に。ところが、屋外活動が1日2時間以上の子どもを比較すると、「両親ともに近視の子ども」でも近視の発症率はぐっと下がり、「片親が近視の子ども」とほぼ同じ割合になりました。

【親が近視でも屋外活動により近視発症率を抑制できる】
出典:Jones LA, et al. Invest Ophthalmol Vis Sci.(2007)

いまや、小学生の外遊びは1日たった40分

では、子どもたちは1日のうちどのくらいの時間を屋外で過ごしているのでしょうか。

実は、子どもが外で遊ぶ時間は、年々減っています。『子どもとあそびー環境建築家の眼』(仙田満著)によると、1日のうちに外で遊ぶ時間は、1955年には男子は3.2時間、女子は2.3時間もあったのに、1975年には1.8時間、女子は1.0時間まで短縮。さらに1995年には37分と、1時間を切ってしまいました(男女合計データ)。

【1日の外遊び・スポーツの時間】
出典:第2回「放課後の生活時間調査-子どもたちの時間の使い方[意識と実態]」 ベネッセ(2014)

また、「放課後の生活時間調査」(ベネッセ2014年調べ)で「1日のうちの外遊び・スポーツの時間」を調べたところ、小学生では平均約41分、中学生では平均約17分、高校生では平均約11分という結果になりました。さらに、「外でまったく遊ばない・スポーツをしない」と答えた人は、小学生で約3割、中学生で約7割、高校生では約8割にも上りました。

近視をふせぐために、外に出よう!

中国、オーストラリアで行われた研究では、両親が近視の子どものうち、1日の屋外活動時間が1時間未満の子どもは近視になりやすく、2時間以上の子どもは近視になりにくいというデータがあります。

ちなみに、屋内の体育館などで体を動かしても、近視進行の抑制にはつながらない可能性が指摘されています。また、運動量と近視には関係がないとしている最近の論文もあります。つまり、近視進行抑制の観点で重要なのは「屋外にいること」なのです。

近視をふせぐために、屋外で過ごす時間を意識的に増やしましょう。

(参考文献)
仙田満『子どもとあそび -環境建築家の眼』(岩波書店、1992)
第2回「放課後の生活時間調査-子どもたちの時間の使い方[意識と実態]」(ベネッセ、2014)
Jones LA, et al. Invest Ophthalmol Vis Sci.(2007)
Rose KA et al. Ophthalmology.(2008)
Lundberg K et al. Acta Ophthalmol.(2017)
Sydney Myopia Study. (2007)